スモール・ステップで勝ち負け、「負けて悔しい」を教える

 昨年から所沢市にお仕事で行かせていただくことになり、月に2回は名古屋と所沢との往復を続けております。所沢・・・・住宅街ですね。品川から結構距離ありますよねえ。せっかくあれぐらい時間かけて行くのだから、畑が多かったり、木が多かったり、そういった田舎感を求めていた私には納得いかないです。首都圏ってどこまで行っても、ちっとも田舎にならないのが名古屋人的には驚きです。こんだけ時間かけて行ったんだったら、空気ぐらい綺麗になってよ。温泉ぐらい湧いてよ。全く。まあ住宅街なので、基本静かで日中は人もまばら。特に観光で遠くから人が訪れそうなものはなさそうですが、そう言えば、西武球場って所沢ですよね。西武ライオンズの試合の日には、きっとライオンズのファンが西武球場に集まって、さぞ賑わうのでしょう。野球ファンではないが、ライオンズ頑張れ!
 野球のようなゲームの理解は、言葉の理解のない子どもには非常に難しいです。特に、自閉症だったりすると、理解力だけでなく、勝っても負けても「しれー」っとしているというか、嬉しいとか悔しいとかの感情が湧いてくる感じが一切ない場合も多い。勝った時に嬉しくて、負けたら悔しいと言う気持ちを感じられるようにするには、一体どうしたら良いでしょうかね?これが良いという正解はないですし、色々な教え方があるのでしょうが、簡単には教えられない課題です。今回私の教室で成功した例を紹介しますね。
 教室で(小集団で)、相撲を通して勝ち負けを教えてみました。相撲・・・特に相手を押し出すとか倒すとか、人と絡むのを嫌がる子どもも多いです。おもちゃの取り合いでは白熱する子どもも、いざ「押して良いよ」と言われると、尻込みしてしまいます。まずは、相撲の「どすこい」というか相撲っぽく押す感じを見せたくて、「どすこい体操」というYoutubeの動画を見せました。「どすこい、どすこい」の部分が早くてリズミカルで、大はしゃぎになり楽しめる子どもが多いです。
 次に、人ではなくダンボールで作った鬼(たまたま節分が近かったので)を押すことを教えてみました。ダンボールの中にコピー用紙を入れて重りにして(すぐ倒れないようにして)、下には滑りやすいように絨毯を引いて、ダンボールの表面には、わかりやすいように鬼の絵を貼ったりしました。そして、その鬼を押す見本を見せます。必要であれば手伝って子どもに鬼を押させて、できたらめちゃくちゃ褒めます。このやり方で、人を直接押すのではなくダンボールの鬼を押すことなら、比較的早い段階から楽しめるようになりました。「やりたい人!」と聞くと多くの子どもが手をあげるところまで行けました。
 その次に、実際に大人を相手に相撲にしてみます。最初は、後ろから手伝ってやりますが、徐々に先生を押すと先生が大げさに倒れてくれて、それが楽しいことを学習してきます。何度も勝って、褒められて、それが嬉しいようになったところで、負けさせます。ここが勝ち負けが本当にわかるかのテストです。今まで先生を押し出して褒められていたのに、突然先生から倒されるのです。ここで「悔しい」表情を見せたり、倒されても先生を押し返そうとすれば成功です。今まで勝ち負けのあるゲームには全然「しれー」っとして何の感情も見せなかった子どもの何人もが、勝って喜び、負けてがっかりする感情を見せるようになりました。そういう感情って、やっぱりあったんですね。まさか相撲が勝ち負けを教えるのに良いとは、驚きです。ただ、まだ勝ち負けを表情に出さない子どもも中にはいます。私の頑張りが足らないということですね。教育って、思い通りに簡単に行かないからこそ、本当に面白いですね。

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