2016年11月18日金曜日

将来の学校教育に向けて、集団療育を考える

 家から徒歩30秒の教室から、電車に乗って通勤する教室に移動し、はや3ヶ月目です。実は私は中年になるまで今まで一度も通勤電車というものに乗ったことがないのです。朝の通勤電車も面白いですよね。人生経験が大切だ。気が付いたことは、名古屋は満員に近いくらい人が多くなってきても、車両の奥に人が流れていかないんです。ですから、車両のドア付近に人がたくさんでも、奥の方は以外と空いていたりします。東京では毎朝とんでもない人の量ですから、奥に人を入れないという選択肢は絶対にあり得ないのですが、名古屋ではドア付近に乗っいる人はそのまま奥に移動せず、次に人が乗って来ようとしても場所も開けてくれません。「なんで場所開けてくれないの?」といつも思いながら人を押しのけて毎日電車に乗ります。所詮名古屋人は他人のことなんて、どうでも良いのでしょうか?
 よくよく考えると、名古屋の人は東京のように大量の人に慣れていないからかな、とも思います。名古屋の(少なくとも私の乗る)電車は最初からそんなに満員にならないのです。東京のように押し込んで人を乗せるところとは違うのです。一度大雨で電車が遅れた時も、いつもと比べれば超満員なのですが、電車の奥にはそれほど人が流れないままドア付近だけ人が詰め込まれるために、結局人が乗れないままドアが閉められてしまいました。乗る人も、「次の電車に乗れば良いか・・・」程度なのか、皆我慢して次の電車を待っていました。いや、一人だけいました。怒って柱を蹴っていた人がいました。びっくりしました。人前で柱を蹴るなんて・・・そっか、そんなに電車乗れなかったのが辛かったんだ・・・。もしや、うちの教室に来る系かしら・・・。これが東京だと、「乗れないから、次の電車に・・・」なんて言っていたら、1時間待っても電車に乗れないですよね。みんなどんどん押して車両の中までぎゅうぎゅう詰めにしますよね。やはり東京のような場所に住むと、大量の人にどう対処して良いのか徐々に学ぶのでしょう。
 新しい教室に来て、場所が広くなり、やや大きめのグループを作ることができるようになりました。素晴らしいことです。気づいたことですが、2人のグループに慣れている子が4人になると、4人のグループに慣れている子が6人になると、人数に合わせた行動ができずに、これまで問題行動がなかったお子様にも問題行動が出ることもあるのです。例えば、おやつの時間を取っても、2人が4人になれば、おやつが回ってくる待ち時間は一気に倍に長くなります。同様に主活動でも、待ち時間が増えることで、今まで席につけていた子が非常に席に座れなかったりするのです。専門用語で言うと「強化のスケジュール」と言いますが、今まで30秒に一度「はい」と手をあげればおやつがもらえたところが、突然1分に一度しかもらえなくなるということです。対処としては、一回に子どもに与えるおやつの量を一時的にでも多くして調節することで(食べる時間を増やして待ち時間を相対的にコントロールする)、一気にではなく徐々に長い待ち時間にも慣らせていくことができ、泣き出したり席を立ったりする行動を下げることができます。
 1対1の個別の療育を長く続けていると、集団に連れて行った時に今まで個別では見られなかった問題行動が突然起こったり、個別ではできていた適切な行動ができなくなることがあります。なぜ集団ではできなくなるのでしょう?これも「強化のスケジュール」という観点からに分析できます。私の教室で比較的早い段階から集団を行うのは、このためです。早いうちに集団での強化のスケジュールに慣れさせて、「個別の療育だけでしか学べない子」ではなく、できるだけ「小学校では小学校の先生から学べる子」に育てていきたいからです。
 もちろんそれ程簡単なことではありません。強化のスケジュールだけではない色々な難しさもあります。例えば、個別ではその子に完璧に合わせた課題を提供することができるのに対して、集団ではそれぞれに難易度を合わせることが難しいことも多いです。一人が泣くと、次の子にも連鎖して大合唱になり、うるさくて課題の指示が聞こえないこともあります。オモチャの取り合いも、友達がいるからこそ初めて生まれます。走り回って友達と思わずぶつかってしまうことも出ます。でも、集団だからこそ、「友達がやっているから、やってみたい」といった動機が高まることもあり、また一人ではない皆がいるからこその盛り上がりと言うか、楽しい瞬間もあるのです。私の経験からすると、難しい瞬間も多々ありますが、集団の方が絶対に楽しいのです。だから集団はやめられない。