2016年5月28日土曜日

渡米日記2

 アメリカ到着後、結局どこにも動けずに24時間寝続けてしまいました。朝ごはん付きのホテルで良かった。オムレツや目玉焼きをオーダーすると、その場で作ってくれるんですよね。「ええ・・と、玉ねぎに、ベーコンに、チーズに、トマトに、ほうれん草に、マッシュルームに・・・。それからポテトとソーセージも。」アメリカにいた時でも普段からこんなにバカでかいオムレツを毎日食べていたわけではないが。ああ、久しぶりのアメリカっぽい。ちょっと良い目のホテルにしておいて良かった。
 体はまだ全快ではないけれど、昔お世話になった先生と予定通り夕飯を一緒にすることにしました。その先生は当時も私の勤める学校区のディレクター(日本で言えば、地方の教育委員会の長とかに近いかな?)をやっていて、親からもかなり信頼のあった敏腕な方なんです。地下鉄を降りたら、何だかオシャレなレストランや町並みが並ぶ。カリフォルニアのOaklandって知ってます?全米でも屈指の治安の悪い街なのですが、でもその治安の悪い同じ市の中で、オシャレで高級なところも混在するんです。不思議ですよね。ここでは何だかオシャレな人たちが歩道を歩き回り、治安の危険さはまず感じられない。地下鉄の駅のすぐ近く、子連れでも大丈夫そうなカジュアルなお店に入り、メキシカン(メキシコ料理)を。ああ、やはりカリフォルニアに行ったら、メキシカンだよねえ。日本では食べられないからねえ。ブリトーだよねえ、サルサだよねえ・・・うまい。体調が良ければもっと良かった。
 今先生が働いていらっしゃる小さな学校区はサンフランシスコ空港の近くらしく、面白いことに、なぜか自閉症があまり目立たず、大きな問題ではないらしいんです。ええ?自閉症が別に目立たない?ちなみにアメリカの教育会でもやはり自閉症は大きな問題で、どうしても普通の教え方では中々スキルが上達していかない子どもや、問題行動を起こしてしまう子ども多く、この教えづらさから、親と学校とも「何が適切な教育なのか?」を巡って対立してしまうこともつながったり、中には法廷での戦いにまでもつれ込むことも多いのです。ちなみにこの先生と私は昔の戦友というか、親側と学校側が対立する一番難しいケースに私たちが出動して、その対立を何時間にも渡る話し合いで合意に持っていくようなことが何度もありました。メチャクチャ大変でしたが、今となれば懐かしいなあ。ところが、なぜか今先生のおられる学校区では、自閉症の数自体も少なく、特に親との対立も目立たないと言うのです。不思議。
 次の日、昔働いていた学校区に戻りました。久しぶりに私が監督をしていたセンターに戻って、昔なじみの職員とお話しできました。話を聞いていくと、この学校区では自閉症のクラスは私がいた3年半前から比べると、倍に増えたそうです。自閉症の生徒の数が倍に増えたからと言うのです。しかも、問題行動など難しいケースは自閉症のクラスでもお手上げで、結局私がいたセンターへ送り込まれるそうで、センターでも問題は山積みのようです。生徒の数が倍増?これまたすごい話ですよね。前日の先生の学校区の話と大違いです。同じサンフランシスコ周辺の都市なのに、この差は如何に?私のいた学校区はシリコンバレーと呼ばれ、コンピューター関連のテクノロジーの専門家が世界中から集まるところです。やはり理系の技術者系には自閉傾向の強い人が多いのか?と理系の人に失礼なことを考えながら帰りました。答えは簡単にみつからないんですけどね。自閉症って、やはり不思議な謎がいっぱいです。だから魅力があるのかな?

2016年5月21日土曜日

渡米日記1

 アメリカに久々に行ってきました。おかげさまで最近生徒さんの数も増え、普段どうしても仕事中心の生活になってしまうことが多く、今回の旅は仕事をほんの少しにして、昔の友人にあったり、美味しいものを食べたり、なるべくリラックスした旅を計画しました。飛行機に乗ったら、まだ1歳にもなっていない息子はご飯を食べてすぐに簡易ベッドで眠り、こちらもワインなど飲んでくつろいで、「はあ」と落ち着いた瞬間に調子が悪くなりました。寒くって震えが止まらないんです。休みになってリラックスすると、いきなり体調を崩すときってありません?年取ってくると、段々リラックスが難しくなって、やっぱり休みでも何だかバタバタ動いてしまうこともあったかなあ。最近休みはしっかりと取っていたつもりだったのに、ああ、アメリカ旅行までして初めてリラックスするって、何だかねえ。とほほ。折角の旅行が・・・。結局ブルブル震えながらあまりぐっすり眠れるわけでもなく、げっそりしながらアメリカに到着。入国審査では、「You, go there!」みたいな無礼な命令をされつつ、理由も告げられないままやっぱり無駄に何十分も引きとめられて、ますますげっそりしながら到着ロビーに着きました。
 空港でちょっと動けないので、少しお昼ご飯でも食べてからにしようかと、家内がサンドイッチでも買ってくると、「こ、この量は!」久々のアメリカン・サイズ。そういえば、こんな量が当たり前だったっけ・・・。サンドイッチ二つとスープだけなのに、フライドポテトは山のようについているし、スープは丼ぶりかと思う大きさで、ご飯出されるだけ食べたら、体を壊すんだよね・・・。久しぶりに食べ物を残して捨ててきてしまいました。
 本当はレンタカーでそのままホテルに向かうはずであったのだけれど、あまりにげっそりしている旦那を見て、家内がレンタカーをキャンセルして、そのまま地下鉄で移動することにしました。赤ちゃんと病人連れて、家内も本当に大変だねえと思いつつも、体は動かず。しかしサンフランシスコの空港は本当に地下鉄が便利で、下手に怖そうなタクシー運ちゃんとやり取りして、いくら取られるのかドキドキしながらタクシーに乗るより、そのまま地下鉄一本でホテルまで到着できてしまうのでした。地下鉄の乗り降りは、さすが障害者にも優しいアメリカというか、地下鉄の車両とホームとの段差が非常に小さく、ベビーカーやスーツケースでも、乗り降りしやすい。ちょっと臭いが、飛行機よりは座席のシートも良い。ただし着いた先のホームのエレベーターが壊れていて、しかも1週間治らないとの張り紙が・・・。アメリカの機械って、壊れるんだよね・・・。しかも、直すのも時間かかるんだよねえ・・・。結局「ふぬけ」となった私を横目に家内がベビーカーを抱えて階段を降りなければいかず、これもアメリカ旅行だなあ、とつくづく感じる第一日目でした。

ソーシャル・スキル・トレーニング

 6月19日(日曜日)に東京の中目黒で、第4回講演会を「ソーシャル・スキル・トレーニング」題材に行います。興味のある方はぜひご参加ください。(詳しくはwww.kojitakeshima.comまで。)
 ソーシャル・スキル・トレーニングは、本当に難しい題材の一つです。私もソーシャルスキルに関する本や研究はたくさん読みましたが、「この教科書を読めば、ソーシャルスキルがわかる」「段階別に分類されて、非常にわかりやすい」というような代表作的な本が私も見つけられないからです。私も実際に療育を行う際は、いろんな本や研究のいろんな部分をつなぎ合わせて行っている次第で、私自身の臨床経験に頼る部分も大きいのです。今回講演会に題材として取り上げることで、「ソーシャル・スキル・トレーニングを、私ならこう分析して、こうやって行うという」という実際のところを共有し、実際にお子様を療育をされている皆様に、ヒント・手助けになることを伝えられれば良いと考えています。
 私の一番のテーマは、「実際に使えるレベルにまでスキルを持っていけるか?」ということです。というのも、いろんな子がスキルが使えるのだけれど使わない(can't do ではなくwon't do)というか、「やれるけど、やらない」という場合が多いのです。例えば視線合わせのスキルをとっても、自分が視線を合わせたいときはがっつり見られるのに、大人が話しかけるときは目をそらせるとか、よくありますよね。視線が合わせられないのではなく、視線を合わせる動機や、視線を合わせを強化する好子・強化子が自然の生活の中にないのです。視線合わせという行動だけを見るのではなく、その機能というか「どうやったら、人と視線を合わせたくなるのか?」への分析が大切になるのです。
 スキルに対する動機の部分の分析は、よく見られるソーシャル・スキル・トレーニングでも弱い場合が多いです。例えば、ゲームに負けて泣き叫ぶ子どもに、「負けても泣き叫んで癇癪を起こさない(泣かずにゲームを遂行する)こと」を教える場合があるのですが、まず第一に、負けたぐらいでどうしてそこまで泣き叫ばなければいけないのでしょう?と私は考えます。ソーシャル・トレーニングの結果、その子どもの様子を見たときに、「泣かずにゲームを遂行する」という同じ行動をしていたとしても、「泣き叫びたいほど悔しいけれど、我慢して癇癪を抑えている状態」と「負けたら悔しいけれど、まあ別にそれ程泣かなくても良い状態」があるとすれば、絶対に後の方が良いのです。我慢している子どもは、後で歪みがきます。負けることも含めて、楽しくゲームができる状態が目標であって、我慢させることが目標ではないはずです。行動だけ見ていると、その背景の動機の部分というか、機能の分析が無視されてしまっている場合が多いのです。
 機能・動機に焦点をおくことで、なるべく学ぶ本人にとって、それを学ぶことで我慢が増えるのではなく、逆に楽になるようなソーシャル・トレーニングを一緒に考えられたら、嬉しいです。

NHKで紹介された自閉症

 ちょっと遅れますが、5月6日に「自閉スペクトラム症 100万人 ~未来を拓く最新研究~」という題名でNHKでも自閉症診断の最新研究が取り上げられましたね。やはり何と言ってもNHKへの日本国民への影響を大きいですから、本当にこう言った企画が頻繁に取り上げられて欲しいです。
 番組は診断の研究の最前線に焦点が置かれた番組構成になっていたので、診断の後の治療教育については比較的簡単に紹介された程度でした。紹介された部分も、最新のロボット機器を使った教育介入や最近話題になったオキシトシンの研究などで、話題性というか、「皆の目や興味を引くもの」が中心でした。オキシトシンやロボットは最近の話で、まだ実際に自閉症診断を受けた人への療育・介入として使えるレベルまで全然行っていないのに、そればかりが紹介されて、ABAを代表とする「効果が実証されているもの」や「今までにすでに役に立つやり方が分かっていること」ことは取りあげられないのは残念でした。
 早期発見は最近ようやく皆さん重要性に気づき始めた印象もありますが、その後の早期療育にも同等の重要性があり、研究だけでなく実際の教育現場に力のある専門家のチームを送り込む必要があることは、まだ浸透していないようです。ABAだけでなく、専門性のある特別支援の教師、言語療法士、作業療法士など、様々な角度から適切な教育を受けられる体制をこれから作り上げていく必要があるのです。