2015年8月16日日曜日

東京での講演:継続的質の改善

 先日高校時代からの友達に会いました。いつものことながらバカバカしい話で笑いすぎて涙を流しました。「やっぱり年取ると涙腺が弱るから・・・」と言うと、「ええ?高校の時からいつも泣いてたじゃん」と返されてしまいました。そんなに泣きキャラだったかしらん?やはり昔の自分に帰って子供のように楽しめる機会も時々は大切ですね。笑って泣いて、原点に戻って新しい気持ちで再スタートが切れますね。
 原点に戻ると言えば、私は訓練を受けたアメリカで10年近く療育をしてきましたが、アメリカだけではなく日本にも行動分析の良さを伝えたいという気持ちで帰国しました。帰国後2年半、正確に言えば2012年の11月に帰国したので、今秋3年の節目を迎えることになります。これを良いきっかけに、2015年10月に東京で講演会をすることに決定しました。私の拠点が名古屋ですので、名古屋までは遠距離で療育を受けていただくことのできない方にも、少しでも行動分析の実践場面での応用方法について知っていただくためにも、東京で行うことにしました。
 内容は家庭や教育現場で簡単に使える行動分析のテクニックです。もしかしたら、内容的には他の先生からの講演会や教科書で似たようなテクニックを紹介されたことがあるかもしれません。今回の私の講演の違う点は、参加者になるべく分かりやすいように、さらに理解を深められるように、実際の療育の場面のビデオをたくさん使用する点です。これまで、「なごや自閉症治療養育相談室」で少しずつ療育の様子をビデオに撮らせてもらっていました。というのも、やはり実際に療育が行われている場面を見ながら、それに丁寧な解説をつけていくことで、教科書等で読んだり口頭で説明を受けたりすることとはまた違った理解が生まれることがあるからです。「ああ、あのテクニックは実際にやるとこういう風な感じなのね。」とか「ああ、今までは一つのやり方しかないと勘違いしていたけれど、こうやってやることもできるのね。」という納得の瞬間が一つでもあれば嬉しいです。講演会に来てくださる方のためにビデオの使用の許可を下さった名古屋の生徒さんの保護者の方々、本当にありがとうございます。感謝です。

 アメリカにはこういう言葉がありあます。「Continuous Quality Improvement」。これは、「継続的質の改善」という意味です。私が皆さんに知ってもらいたいABAというのは、「行動の原理を応用する」というシンプルなところを基礎にします。専門家が正式なやり方で、データもしっかりとって、行動を改善させるということも大切なのですが、「形式はどうであっても良いし、誰でも、いつでも、やれるところからやろう」というところを原点にしたいのです。私に言わせると、良い先生(もしくは良い親)というのは、学校の中で(家庭の中で)知らず知らずのうちに、行動の原理にかなった方法で生徒の(子どもの)行動の改善を行っていると私は考えています。誰でも(勘がよければ上手に)使って良いものなのです。ただ、いろんな人が使うようになれば、「できる!」と感じる場面もあれば、逆にいろんな失敗経験も出てくるわけで、私のような専門の知識を持っている者の話を聞くことで、その失敗をできるだけ成功体験に変えていくきっかけになってもらえたら幸いです。
 さらに言えば、私たちのような専門家であっても、その時の状況の中でベストと予測されるやり方を選択はしますが、それぞれの子どもにの特徴や反応は違うので、必ずしも私のやり方がすぐに成功するとも限りません。それぞれの子どもに合わせていくと言う意味からも、最初から完璧なやり方があるわけではないのです。私たち専門家の責任は、行った介入方法を頻繁に評価していくことで、常に改善させることなのです。徐々に少しでもそれぞれの子どもにあった介入に近づけていくことが、まさに「Continuous Quality Improvement(継続的質の改善)」の精神であり、これが大切だと私は思います。
 完璧を求めずに「とりあえずやってみよう」と使ってみれば良いと思います。まずやってみてから、その次に徐々に目標に近づけて改善していく精神を加えていくと、初めてそれが素晴らしいものに仕上がっていく可能性が出てくるわけです。私の名古屋での療育も、常に「どのやり方がそれぞれの子どもにあっているのだろう?」と模索しながら、徐々に子どもにとって最善なものに近づける努力を常に行っています。こういった継続的改善の姿勢も、ビデオを見てもらうことで感じていただけたらなあと、期待しています。
 今回は第1回ということで、小規模でちょこっとずつ始めさせていきますが、これからちょこちょこと講演会も企画して、私の感じてきた素晴らしいABAを紹介していきますので、時間が合えばぜひいらしてくださいね。