2014年10月10日金曜日

自閉症の治療薬

 NHKのニュースで、「自閉症の初めての治療薬となるか」臨床試験が行われる事になったと報告されていました。今回報告された薬は「オキシトシン」と呼ばれるホルモンを鼻にスプレーして投薬するというもので、効果としては「顔の表情などから他人の気持ちを読み取るテストで効果があった」というコミュニケーション能力の改善ということだそうです。
  自閉症の治療薬ができると良いですね。私は実際に研究の結果を読んでないので詳しい所はわかりませんが、上記のニュース情報だと残念ながら「自閉症を治す」というよりも、「自閉症の症状を改善する」という印象ですね。本当の所はどうなんでしょう?結果も含めて、女性の母乳を分泌するのに使われるホルモンがどうして自閉症の治療薬になるのか等、もっと詳しい情報が出ると良いですね。
  ニュースによる自閉症の取り上げられ方というのは難しいですよね。今回も、「自閉症の患者は国内で120万人にのぼるが、根本的な治療法はない。研究グループは再来年までに結果をまとめ・・・」とありましたが、このニュースの流れを聞くと、「自閉症には何もすることができない。この薬が根本的な治療法になる可能性がある。」というようにも聞こえなくもないので、本当に止めて頂きたい。
 この薬の効果は別として、療育による効果は研究によってずいぶん前から明らかになっていることです。「コミュニケーション力を改善させる」治療教育の効果的な方法は、現在もどんどん研究として出されています。それどころか、早期に療育を始めた場合にはIQが20とか上がる場合もあるということまで研究で出ているのに、「根本的な治療はない」で済まされて良いとは思えないからです。
 なぜ、療育の効果は報告されないんでしょうか?ABAの研究方法が他の分野と違う場合が多い、ということもあるでしょう。また、医学会が、心理・教育会よりも資金力も政治力も断然に大きいことも、もしかしたらニュースに与える影響の違いに出ているかもしれません(ABAは心理・教育の中でも異端児扱いされることもあるそうですからね)。日本に専門家が非常に少ないことも、影響しているでしょう。皆様に良さが知ってもらえるような上手いコミュニケーション力、分野を超えた臨床家同士の横の連携力なども含め、私たち専門家が改善していくことも必要かもしれませんね。