自閉症をウィキペディアで検索

 自閉症について、福祉のしくみについて、治療教育について、ちょくちょくウェブで検索します。まず自閉症というキーワードで検索すると、始めに出てくるのがWikipedia(ウィキペディア:インターネット上のただで使える百科事典)の自閉症ですよね。これはアメリカでは一般にも浸透しているもので、徐々に、日本でも使われるようになってきたということでしょう。この辞典では執筆や編集が世界中のボランティアによって行われるということですが、内容がどれくらい的確かは疑問視されることもよくあります。私個人の大雑把な意見としては、内容の正確さについて慎重になってさえいれば(すべて鵜呑みにしてしまわなければ)、情報が簡単に手に入って、広告や有料サービスもなく、便利なので私はよく使います。
 でも英語のページと日本語のページの内容を比較してみると、ちょっと、というか大きく違うんですよね。私はてっきり、英語のページがそのまま翻訳されているのかと思いましたが、そうでもないようです。治療教育をしてきた私として自閉症のページで一番びっくりしたのは、「治療」という所です。英語バージョンで紹介されるのが、ABA、発達モデル、TEACCH、言語療法士のセラピー、ソーシャルスキルトレーニング、そして作業療法士のセラピーなどです。さらに"Autism Therapy"という題名でより詳しく色々療法がのっています。でも日本語バージョンでは、「治療」という所では、4行のみの説明で、「TEACCH」と「ソーシャルスキルトレーニング」しか紹介されていません。しかもその他にはセラピーなどのページはありません。ちょっと、ええ?それだけ?と思いました。どうしてでしょう?日本では色んな治療教育があまり手に入りづらい状況なので、「そんな日本で手入らないセラピーは紹介しなくて良し」という事なんでしょうか?日本で執筆を担当したボランティアの人が、日本で手に入る情報のみを基に、英語での研究や情報は無視して執筆したんでしょうか?疑問です。ABA(応用行動分析)で博士号を取ってる私からすれば、これまで私が勉強してきた、アメリカや日本の研究者が積み上げてきた行動分析の成果は日本では紹介されないのか?とちょっと憤りを感じます。「治癒」の投稿で話した通り、カリフォルニアでは簡単にABAの治療教育を受けられて、大きな効果も確認されているというのに、そういった情報が日本の教育者や自閉症や他の広汎性発達障害の子供を持つ親に伝わらないですよね。
 そう言えば今思ったんですが、日本でウェブサイトで自閉症を検索すると、あまりABA(応用行動分析)って出てきませんよね。自閉症という関連では、必ずしも知られていないということですかね。意外に思われるかもしれませんが、実は日本の行動分析学会ってかなり大きいんです。自閉症関連の研究も多く出てます。慶応大学を含む多くの有名大学でも教えられているんですよ。応用行動分析を使える学生は密かに育っているんです。ただし現状からすると、大学で応用行動分析を勉強しても治療教育で飯を食って行くことが難しいので、心理学の研究者になってしまうんです。日本の福祉から治療教育に対する金銭的支援が本当に少ないので、こういう状態になっているのですが、こんなもったいない話はないです。日本の自閉症・広汎性発達障害の子供に早く色んな療育が手に入るような状態になって欲しいです。そして、ウィカペディアでも色んな療法が列挙されるように。私もがんばります。
 忘れておりました。ちなみに私のウェブサイトにも色んな療法を紹介していますので、良かったら見てください。www.kojitakeshima.com/自閉症について/治療・療育の選択肢

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