教育は勝ち取る

 現在カリフォルニア州の患者さんにも、遠隔地ながらインターネット等を通して監督役として治療教育に関与させていただいています。カリフォルニアでは健康保険で治療教育が支払われるのですが、某医療保険会社とのやり取りで本当に腹が立っています。私の場合、これまでにもその保険会社からの支払いを受けていたのですが、保険会社の都合で新しい会社に保険業務の担当が代わるということになった訳です。向こうの都合で担当が代わったにも関わらず、申し込みから何から何まで全部やり直しなんです。その書類形式一式すべて代わるので、すべてを一から学ぶことから始めなければいけないんです。しかも、どこからどう始めたらよいのかという情報自体が簡単に仕入れられないようになっているんです。
 電話をかけるとこんな風になります。まず、待たされますよね。「お客様の電話は大切です」なんてメッセージが流れて(それなら電話にすぐ出ろ!)、しばらくして人につながります。それから、患者さんの名前と保険の番号、私の名前等を聞かれて、「どういったご用件でしょう」というやり取りになります。説明すると、じゃあ担当の部門に代わりますと言われて他に回され、次の担当部門にかわると留守番電話につながってしまうんです。今アメリカにいないので、Eメールで返事をお願いしますとメッセージを残しつつも、用事を早く済ませたいので、もう一回電話をかけます。(ちなみに、そこの部門からは一週間経っても留守電への返答なんてありゃしない。そんな失礼なことってありか?)もう一回かけ直して、取りあえず今の患者さんの担当に当たる方に代わってくれと頼むと、担当の人もひどいんです。「ああ、でもあなたはネットワークに入っていないから、ダメかもしれませんよ。」なんて平気で言って、でもじゃあネットワークに入るにはどうするのか、具体的な説明ゼロ。何か質問をすれば、すべて他の部門の電話番号が帰ってくるだけなんです。メールで、「質問に答えられませんか?あなた担当じゃないんですか?」なんて質問すると、返事なしです。一体どういうことだ?
 電話かけるとそうやって、あっちこっちに回されて、回されるごとに待ち時間があるので、一回かけると一時間弱くらいすぐに経ってしまいます。しかもそれでも必要な情報は手に入らない。話す人ごとに違う情報を出したり、違う書類形式が回って来たりと、まさに悪戦苦闘です。そのくせ電話の最後には、「他にご用件は?」なんて聞かれて本当に腹が立ちます。お前が何も答えられないくせに、そんなこと言うな!電話を切った後、「日本に帰って間もないのに、こんなに英語がしゃべれなくなったのか?」「私の英語の訛りのせいで冷たくあしらわれたのか」と愕然としましたが、よく考えれば英語の問題でもないですよね。話し相手のやる気の問題です。向こうはお金を支払いたくないですから、こうなる訳です。こんなに苛ついたのは久しぶりだなあ、そう言えば前もこれぐらい苛立った事もあったなあと、ふと考えてみると他の保険会社に電話をかけた時でした。(アメリカでは健康保険は国ではなく民営なので、色んな保険会社が乱立している。)そう言えば前にも苦労したっけ、と思い返しました。
  アメリカの治療教育の福祉が良いなんて言っても、これじゃあなかなかサービスを得るまでによっぽど力を注がないといけないですよね。ちなみに、アメリカでは福祉系のサービスや、教育系のサービスなど、勝手に与えられると言うよりも基本的に自分で勝ち取るものと考えた方が良いのです。私も州立の学校区で働いていましたが、同じ法律のもとで仕事をしているにも関わらず、本当に学校区によってもらえる教育も様々。住民(親)の知識や教育関心レベルの低い地域の学校区では、相手が文句を言わないことを良い事に、法律で認められている教育すら受けられない場合もあるようです。ちなみに私のいた学校区では反対で、教育熱心な親が多いアジア系の住民が多いので、何か学校教育で間違いがあればすぐに訴えられてしまうので、親から常に弁護付きで監視されているようなものです。職員も法律には気を使って仕事します。学校の教育も親の働きかけによって変わるのです。言い方を変えれば、学校の言うままになっていてはいけないのです。日本でも基本的には同じ事が言えると思います。学校に問題があるとすれば、学校の先生だけが悪いのではなく、住民(親)の働きかけが足らないのです。最近モンスターピアレント(お化けたいに問題な親)なんて言葉で、学校に文句の多い親が増えているそうですが、不満や問題があれば問題が大きくなる前に、誰かが口に出してコミュニケーションをしないといけません。学校も法律にのっとった正しい教育をしていれば、別に教育熱心な親を怖がる必要はないのです。確かに人とのコミュニケーションは疲れますが、それに懲りずに「教育は勝ち取る」という姿勢を身につけたいものです。

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