NHKのハートネットTVを見て

 今日(2012年12月17日夜8時)にNHKのEテレ?教育?の、ハートネットTVという番組で、自閉症と知的障害のある青年の”成長記”というのを見ました。心温まるエピソードでした。青年(20歳前だったかな?)は障害のある方にも優しい職場で仕事を持っており、毎日自分で起きてバスで通い、家族も障害を受け入れているということだったと思います。この青年は言葉も結構話せ、叱られた時の気持ちを書いた詩が紹介されていました。昔は自分の気持ちが伝えられなくて他の子供を叩いてしまったり、といったエピソードも紹介されていました。
 仕事が持てる事(障害にも優しい職場環境が見つかった事)、気持ちが伝えられる事、家族が障害をそのまま受け入れられている事、こういった事はなかなか難しいと思います。残念ながら、この1つ1つどれも難しいんです。自閉症って、診断の一番最初の条件にコミュニケーションが取りづらいってあるじゃないですか。このコミュニケーションの障害が本当に生活を難しくしてしまうことが多いんです。言いたい事が伝えられない、言葉にならないということが多いので、他人から見ればおかしな行動をとっているように見え、さらにその理由も分からないということなんです。これって、仕事現場では結構きついですよね。毎日生活している家族でも分からない事が多いんです。「障害が受け入れられない」ということは、説明すれば「障害が原因で、本人の行動パターンの理解ができず、周りの人にストレスがたまってしまう。ストレスが原因で家族が本人を怒ったり叱ったりということにつながる。さらに、本人はなぜ怒られているのかわからずに、不安を高める」ということなんです。
 私が比較的高機能(言葉が結構話せる)の10代の子供に療育をする時は、意思をどうやって伝えるか、どう言えば他の人に状況が説明できるのか、他の人は何がわかって、何を説明しなければ分かってくれないのか、ということを教えていきます。コミュニケーションって、本当に奥が深く、しかも残念ながらそういったことが書かれた教科書も本当に少ないんです。ですから、療育の専門家でもこの領域に腕のある人は、少ないんです。はっきり言って、非常に難しいんです。こういったことに対してをどんどん研究が進んで欲しいんです。そして、それが出来る腕利きの臨床家、療育家が必要になるんです。(自閉症を持つ親の方、家族の方、本当に声を大にして、一般社会に研究、療育の必要性を語りかけましょう。)

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